今までで1番面白かったわ。やっぱり無味無臭な怪獣娯楽よりも、ドラマ性の強い作品の方が好みやね。

ドラマの完成度が高いとかそういうのでもないけど、ホッコリした雰囲気と優しい世界観はかなり見やすかったです。宇宙に出れなくなった人っていう題材も今作ならではだし、個性が光ったエピソードだったと思います。


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・愛しのエリー

ピット星人のユウコは地球で仲間の救助を待つ中で、スフィアの影響により故郷に帰れなくなりましたとさ。スフィアのせいで地球から出れなくなってしまった事の弊害は色々描かれているけど(雇用が無くなった、親と再会出来なくなった等々)、ここをまたもや活用して掘り下げたのは良い感じね。

苦労してるのは地球人だけじゃなく、外から来た宇宙人的にも迷惑してるというね。望まずして移住しちゃいました、苦労してますってのはタイガっぽさがあって懐かしいけど、今回の方が説得力があると思いますね。地球に留まざるを得ない理由がちゃんと描けてるし、こういう何気ない描写の積み重ねが「世界観の構築」に繋がると思うしね。今作ならではの設定を上手く活用出来てたから、話の導入は完璧やね。


ユウコとエリーのやり取りもホッコリするというか、特に中身がある訳ではないんだけど可愛らしくて良かったと思います。やっぱり怪獣ってのはどこか愛嬌があるから、ああいうペット的な役割が似合うと思うな。この辺はウルトラ怪獣の強みだと思います。


今回って移民問題とか、外来種の不法投棄問題とか、地球の環境問題とか、社会的なテーマを孕んでる印象だね。結局そこが掘り下げられる訳でもないけど、妙なリアリティは確かに実感出来る話だったかなと思いました。現実の延長線上でストーリーを作ってるから、結構見やすい話でした。

辻本監督の絵作りにしても、結構リアルな感じだからスっと頭に入ってくるね。タイガ18話っぽい感じ。


・イチカ

イチカはユウコ達に肩入れして独断専行してました。ここはかなり意外というか、歳の割には真面目な子だと思ってただけにああいう直情的な行動を取るとは思わなかった。まあ行動原理がちゃんと用意されてたから全然OKなんだけど、最初は結構意外性があった。


最初の方はスフィアのせいで将来設計が狂った人同士で肩入れしてるのかなーと思ったわ。同じ背景を持つ者同士で何か共鳴する部分があったのかなと。

実際には食いしん坊の捨て犬に重ねていた訳だけど、どんな理由であれイチカの行動に補完が入ってたのは秀逸でした。脳内補完出来る範囲の行動だったとはいえ、明確な答えを用意したのは親切でよろしい。隊員としてアウトローな行動を取っているだけに、曖昧な行動原理で終わってたらだいぶ引っかかるしね。


総じて今回はイチカの真っ直ぐさや優しさが強く出た話で、掘り下げとしては文句なしやね。


・ガッツSELECT

ガッツSELECTは怪獣や宇宙人の保護も自ら進んで行うホワイト組織でした。怪獣駆除に命を掛ける訳ではなくて、弱者の立場に寄り添える非常に立派な組織なのでありました。

ぶっちゃけユウコも自分勝手というか、勝手に怪獣を持ち込んだ挙句周辺に迷惑をかけまくってるから自業自得なんだよね。確かにエリーは悪くないかもしれないけど、自然に野放しにしてる時点で口出しする権利はないというか。だからガッツSELECTがどういう行動を取るのか割と気になってたんよね。


結果的にはエリーも引っ括めて助けるっていう寛容な対応を取ってたけど、ここの隊長は本当にカッコよかったな。スフィア被害者の身を案じて、怪獣諸共救おうとするその姿勢。優しい隊長なのは元々分かってたけど、身内以外にも優しいのは好印象すぎるね。

ただ堅苦しいだけの組織ではなく、TPOに応じて柔軟な対応を取れる余裕のある組織って感じでしたわ。その上理想論だけを突き詰めるのではなく、副隊長というバランサーがいるのも良かったね。もし組織が暴走しかけても、現実を見れるキャラが配置されてるのは優秀だと思います。現実との折り合いの付け方が上手いというか、違和感なく話を作れてると思います。


オチも完璧やね。デッカーの活躍でご都合主義的にエリーが小さくなり、ガッツSELECTの頑張りが無駄になるかと思いきや、最後まで手厚くサポートしていたのは偉いね。隊長の心意気や優しがちゃんと報われて終わったし、防衛隊に花を持たせて終わったのは優秀です。今作はどうしても「ウルトラマン>>>>防衛隊」という構図が強くなってるけど、今回はそこを是正してくれた様に思います。

エリーが巨大化しない様な食事管理を行うという事で、(実現可能かどうかはかなり疑問だけど)何とか役に立とうとしてるのは良かったと思います。サポートしていこうとする心意気とか努力がちゃんと描けてるのは見事。

それに堅物な副隊長がコミカルな側面を見せてるのもホンワカしてて良かったし、堅くて嫌味なキャラで終わってないのが良いね。キャラの立たせ方、広げ方はかなりレベルが高くまとまってたと思います。


・デッカー

ミラクルタイプの能力でエリーを小さくしてました。ご都合主義すぎる展開だけど、最後は防衛隊にスポット当たってたから良しとしよう。

新カードの登場も急だし、カナタの出番も少ないしで、全体的に主役の扱いはそんなに良くなかったね。まあ別にそこは期待してないんだけど、イチカのメイン回として身の程を弁えた立ち回りだったと思います。


次回はリュウモンのメイン回かな?隊員の中で1番空気な感じなので、バシッと魅力を打ち出して欲しいところ。



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